【ネタバレ】ステイタスが見えるようになると、予想外のトラブル回避や、気が利くサービスを提供することに役立ちます。
本記事では、以下の内容を解説します。
・社会における、行動や立場のこと。
・相手がどんな人なのか観察する判断材料になる。
・ステイタスが見えると、人間関係に活用できる。
「ステイタス」という言葉がある。RPGではよく聞く単語だが、ここで言うステイタスとは社会的な立場や行動とか状態のこと。例えば偉そうな上司が大きなミスをしたら、いつも叱られてばかりの部下にちょっと見下される。これがステイタスの変化。ステイタスも対人スキルを磨くのに必要な要素なのだよ。
— いぬ (@inublogger) 2019年3月27日
※この記事は読むのに10分くらいかかるでしょう。
こんな人に読んで欲しい
1.人間関係で悩んでいる人
2.人との距離やマナーに悩みがある人
この記事を書いている人
お芝居に10年以上関り、その経験を元に接客対応セミナーなどを行っています。ここでは、人と人の間で常時行われているステイタスの変化について学んで欲しいという思いからこの記事を書きました。
ステイタスは、常に自分の周りにある物や人、環境全てに影響を与えています。
目次
ステイタスを学ぶことは人間関係を円滑にする

【ステイタスとは?】ステイタス(status)とは、社会的な立場や行動、状態を指す言葉です。
今はあまり聞かなくなりましたが、「高級車に乗ることがステイタスです。」とか、「海外に別荘を持っています。」とか一昔前にはお金持ちのステイタスとして言葉が使われていました。現在でも使われているかもしれません。
このステイタスを理解すると、何故人間関係改善に役立つのでしょうか?
順を追って段階的に説明します。
ここで言うステイタスとは、先に説明したようなRPGのようなパラメーターが数値化されたものではなく(意味は近い)、その人がどんな人かを判断する材料になるノウハウだと言えます。
動物で例えると非常に分かり易いと思います。
動物の世界では、目線が合ってから「どちらが強いのか」というアイコンタクトのバトルが始まります。ここで相手の気迫に気圧されて目線を少しでも外してしまえば、たちまち餌の対象になってしまいます。
動物の世界ではこの目線という要素が非常に大切で、どちらのポジション(立場)が上なのかハッキリさせる習慣があります。
逆に人間界では、目を絶対に合わせないというステイタスの見せ方も存在します。無視というやつですね。
このように生き物の遺伝子の中には、ステイタスが組み込まれているのです。
ではもう少し分かり易く滑稽な例を見てみます。
人間の場合
例えば、①会社の社長と②社長の奥様と③社員がいたとします。
会社では社長は地位が最上位の存在です。社長と社員であれば、誰が見ても社長の方が偉いですよね。もしかしたら、社員に威張り散らしているかもしれません。今回の例では威張っている社長としておきましょう。
こんな感じで、社長は会社で誰よりも強い権限を持っています。
しかし会社では最上位の社長でも、家に帰れば社長の奥様の方が立場が上という場合もあります。
このように、会社では立場が最上位の社長でも環境が変われば偉くない人間になってしまうのです。
この立場のことをステイタスと言います。ステイタスはその人の置かれる状況に応じて常に上がったり↑、下がったり↓、変化をしています。
よくあるパターンとして、横柄でいかにも偉そうなお客様がいたとします。このような方たちに接する時、こちらも偉そうに対応したとしたら、行きつく先は喧嘩ですよね。良くてクレームです。
接客において、このステイタスの高い、低いという状況を判断し使い分けることができると初対面の状態でも相手と友好的な関係を構築するきっかけを作ることができます。
要は、偉そうなお客様にはステイタスを低く、尊敬や敬う気持ちで接する。ステイタスが低いお客様には提案を多くして選択肢を与えリードしてあげるなど、入口として大きく2つに分けたカテゴリーからどんな対応をすべきかを判断できるようになります。
ステイタスは面白い法則が存在します。片方のステイタスが高ければ、もう一方は低くあるべきなのです。逆もそうでして、低い相手であればこちらの方がステイタスが上がるのです。これをシーソーの原理と呼びます。
ほぼ横ばいの状態もあり得ますが、話し方、立ち振る舞い、話す言葉によって細かく変化しているのです。
受け取る側次第で、ステイタスは上がったり下がったりします。
【注意】ステイタスが高い、低い事が悪いという形で直結してしまうと大きな間違いです。相手の状態や背景を考え適切な対応を行うことが、ステイタスを学ぶ目的となります。
相手がどんな人か観察する

人間をよく観察すると、相手の情報が見えてきます。
人は話したり説明をしなくても、多くの情報を相手に出しています。
先ほどの「横柄で偉そうな感じのお客様」を掘り下げてみます。

突然、40代くらいの男性がサービスに対してクレームを言ってきたとします。まくしたてるように話しながら、怒鳴っています。
更にスタッフ(従業員)に対して上から目線で文句を言っています。
この人物が40代くらいの男性で、きちっとした服装で清潔感もあり、高そうな持ち物の人物だった場合、「仕事ができそうな人」に見えますよね。
この時、無意識で相手の服装や言動を見てどんな人物かを想像していると思いますが、上の場合恐らく社会的地位の高そうな男性だと判断できます。その人に対して、スタッフも喧嘩腰で相手を非難する態度で対応すると、大きな問題に発展します。
当たり前の様に喧嘩腰で対応することなんてあり得ないのですが、もしスタッフ側も「非常に忙しい」とか「プライベートで嫌なことがあった」とかで気が回らなくなっていた場合、同じようにステイタスが高い人物に対して、相手と同じように強い気持ちで接してしまう事もよくある話です。
周りの環境や人に対してステイタスが高い相手の場合、こちらはまずその人より低いステイタスで接する必要があります。
ここを入口として、原因はなんなのか?という問題に向かって話を進めていくべきなのです。この男性は何故怒っていて、こんなにも高圧的な態度なのでしょうか。単に協調性がない人か?他人の気持ちを考えられない人なのでしょうか。それとも理由を聞けば、誰しも納得するような状況だったのでしょうか。
明確な理由を条件に入れていないので、この例として理由は全く不明ですが、理由を相手に寄り添って想像してみると意外ときちんと話を聞くことができます。
ぶっちゃけ、文章化しなくても簡単なことのように感じるかもしれませんが、意外とできていないのが現実です。
相手のステイタス(周りに与える影響)が高いか、低いかという点だけでも気にして接するだけで問題解決に向けスムーズに舵を切ることができるのです。
そういう意味で、ステイタスを考えることは「相手の気持ちを考える」ことに繋がるのです。実際に、自分自身が周りに与える影響はたくさんあります。
元気が良い場合にはプラスな影響を与えます。
気分が落ち込んでいる時には、マイナス気味な影響を与えます。
時々意図しない形で、「自分はそんなつもりじゃなかったのに。」という感じで人に受け取られてしまう場合があります。性格やクセといった無意識の部分にまでステイタスは影響します。自分が何をしたかよりも、相手がどう感じたかの方が重要ですよね。
特に人間関係では、最低限の礼儀とマナーが伴わないと関係性が円滑になりません。
ステイタスという要素に注意しながら、自身の日ごろの行いを振り返ってみると新しい発見があると思います。
普段のアナタはどんなステイタス?

「自分は周りに気を遣えるし物事に柔軟に対応できるタイプ」と考えている方は意外と多いと思います。
上でも説明しましたが、ステイタスとは「何を発するか」よりも「どう受け取られるか」の方が重要です。
ここまで読まれた方なら、既になんとなく気付いているかもしれませんが、ステイタスとは自身が考えている以上に周りに影響を与えています。
公共機関での立ち振る舞い
例えば、電車の中で混雑しているにも関わらず2席に座ったまま新聞を大きく広げているサラリーマンを見かけたとします。
この方は、「周りの空間や人、電車内という全ての環境に対してステイタスが高い」と言えます。
正直、周りから見たら「なんかあの人、やな感じ……」
誰もこの人が刑事で、誰にも心配をかけないようにと爆弾を運んでいる……(もしもの話)なんてことは知らない訳ですから。相手の事情や心情なんかよりも、「自らの行いが周りからどう見られているか」の方が大事です。
ちょっと極端で演劇的な例になりましたが、究極イメージすると上記のようになります。
一見すると迷惑な人も何か事情があるのかもしれませんよね。
アナタはどうですか?
では、ぐっと話を身近に持って来ましょう。アナタは職場や学校、家庭の中などで普段どんな影響を周りに与えていますか?
ご飯を作ってくれたり、「お疲れ様」という労いの言葉を雑に扱っていませんか?いつでも明るく元気にお話しして周りの人に気を遣っていますか?
会社で部下に高圧的で常に睨みつけ偉そうにしていませんか?
学校で人の気持ちを考えずやりたい事をやっていませんか?
家族だからと言ってた、辛辣な言葉を投げかけ誰かを傷付けていませんか?
こういった場合、良好な関係を築くことは非常に困難ですよね。
改めて、アナタの普段の行い(ステイタス)を見直してみましょう。もし、職場や学校で「何故か人と距離を感じてしまう…。」とか、「あの人の行いが気になって仕方ない。何で?」と考えている人がいれば、それはきっと自分の行いのせいかもしれません。
気付かないうちに、必要以上にステイタスが高くなって高圧的になっていたり、逆に心配をかけるくらいステイタスが低くなり一見すると卑屈になっている様に見えてしまったら、自分の行いを考える必要があるかもしれません。
また逆に、「あの人、何か嫌な感じだな。」とか、「どこか偉そうだ…。」と感じる場合には相手は何か理由があってステイタスを高くしている可能性があります。
険悪になる前に、お互いの行動や立ち振る舞いを観察して適切な距離を図ると良いでしょう。
見知った相手でも、知らない初対面の人にでも、相手の感情や背景を考えることで一時の冷静な時間を持つことができるようになります。
まとめ
記事のポイントをまとめます。
・人間関係の違和感はステイタスが原因かも!?
・人は自分以外の環境に、常に影響を与えている。
・ステイタスが上がると、相手は下がる。
・ステイタスが下がると、相手は上がる。
・自らの行いは良くも悪くも誰かに響いている。
・相手の気持ちを考えることが、自分の幸せに繋がる。
ステイタスを考える時、正直一言では語れませんし、この記事でも理解することは難しいと思います。
お芝居であれば、「嫌な奴が転落していく様」程面白いものはありません。しかし、現実では大問題です。
社会で生活していると、必ず誰かと行動することになります。そんな時、相手の気持ちや立場を考えられたならどんなにスムーズに進むでしょうか。
今回は、人の気持ちや行動を「ステイタス」という考え方で見てみました。
元々はimprovisation(インプロビゼーション)という、即興芝居の中でシーンをより興味深くする要素として、このステイタスが使われています。インプロの世界では、ステイタスを考える時に実生活のインパクトがある人間関係をテーマにすることが多く、本記事とは逆の発想です。
もし研修というテーマや視点から、このステイタスを学んでみたいと思った場合には以下の書籍が非常に参考になります。
芝居をする人も、しない人も大変勉強になるジャンルです。
是非参考にしてみてください。
インプロ(即興芝居)のエッセンスは、新人研修や接客対応のシーンにおいて、非常に勉強になります。
また、人間関係を面白い切り口から考えることが可能になります。
社会生活という場面でも勉強になる為、おすすめです。
【おわり】